冨田明宏 責任編集メールマガジン 『パトス・ハメ』
No.0003-1 / 2009年2月4日 発行
INDEX
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1. THE QEMISTS『JOIN THE Q』ロングインタビュー text: 冨田明宏
2. 対談連載 DJ TECHNORCH×冨田明宏『同人音楽』第2回
3. リレー・コラム『人生を変えたアルバム』 text: 高橋和也
4. 今号のパトス盤 - PICK UP DISC! - text: 冨田明宏
5. 犬が読むコラム - 責任編集後記的な何か - text: 冨田明宏
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INTRODUCTION
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今回は刊行ペースを守ったぞー!ウォー!!!
なんて、みwなwぎwっwてwいwる場合じゃない。結局日々の仕事に忙殺され、知り合いのライター諸氏に原稿振れなかったorz。俺、自殺行為。次号こそは、次号こそは……。
さて、前号はPCメール3通(ケータイはナント6通!)と、物量と視覚でパトスを感じて頂いたわけですが、いかがだったでしょうか?もう勝手に好評だったと判断して、今回も大変なテキスト量です。本当に、本当にありがとうございました(DOD新宿ED的な)。
そして今回から新たな連載、リレー・コラム『人生を変えたアルバム』がスタートします。好評だったテクノウチ氏との対談連載と同様、新連載もどうぞお楽しみください!それでは、はりきってどーぞ!
1. THE QEMISTS『JOIN THE Q』ロングインタビュー text: 冨田明宏
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今回の『パトス・ハメ』ロングインタビューは、現在大型CD量販店を中心にスマッシュ・ヒットを記録している、超ド級のラウドロック系ドラムンベース・バンド、ザ・ケミスツです!
Ninja Tune の総帥 COLDCUT に弟子入り、家賃を払うために昼間はアルバイトしながら完成させたという本作は、2年半という紆余曲折の月日を丸ごと凝縮した、驚くべきモンスター・アルバムだった。まさに全世界を揺るがすサウンドを生み出した、彼らのメッセージを受け止めろ!
――まずはメンバーとの出会い、そしてザ・ケミスツ結成の経緯を聞かせてください。
リアム・ブラック(ギター担当:以下L):
そもそも話は、27年前に始まったんだ。つまりは生まれた時さ。驚いたことに、俺たち全員生まれた日が一週間と違わないんだよ。なかなかクレイジーだよね(笑)。その後学校で2人と知り合って、友達になった。13歳になると、当時流行っていたグランジにハマるようになり、バンドを結成したんだよ。最初はほんの遊びのつもりで週末にプレイする程度だったけど、すべてはそこからだね。いろんなメンバーが出入りしたけど、リオンとダン、そして俺の3人は必ずいた。でも、そのバンドも結局解散しちゃったんだ。
その頃には、クラブ・ミュージックも結構聴くようになっていたんだよ。もう19歳か20歳ぐらいだったから、クラブで遊んでいろんな音楽を聴いていたんだ。そこで試しに、バンドでビート・トラックを作ってみようと思ってね。金を貯めて機材を買って、機材の使い方を学んでスタジオで作業を始めて……あの頃は、ただ楽しかったな。そのスタジオで、ザ・ケミスツは結成されたんだ。「ロック・サウンドにクラブ・ミュージックからの影響を取り入れた音楽をやろう!」ってね。
――正式に結成されたのは、いつの頃のこと?
L:
Ninja Tune のボス、COLDCUT のリミックスを初めて手がけた時だね。俺は当時、COLDCUTのジョン・モアの下で研修を行なっていたんだ。2〜3年間、無給で仕事を覚えたんだよ。そんな時に COLDCUT がアルバム『SOUND MIRRORS』からのファースト・シングルのドラムンベース・ミックスを作りたいということで、俺たちに「やってみるか?」と声をかけてくれたんだよ。だけど「48時間で仕上げろ!」と言われてさ(笑)。それで作ったものを提出したんだけど、とても気に入ってもらえたんだ。それがザ・ケミスツとしては最初の仕事じゃないかな。それが2002年のことだね。
――ドラムンベースやプロディジー以降、そしてUSオルタナ以降を模索したような音楽性を志向されていますが、音楽的なバックボーンには、具体的にどういったアーティストがいるのでしょうか?
L:
プレイヤーとしてそれぞれ受けた影響は違うけど、バンドとしてはレッド・ホット・チリペッパーズかな。ドラマーもシンガーもギタリストもベーシストも、みんな素晴らしいからね。彼らからの影響が一番大きいかもしれない。へヴィなものではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、サウンドガーデンあたりかな。後はやっぱり、ニルヴァーナとかアリス・イン・チェインズとか、オルタナ、グランジ・シーン全体から影響を受けたよね。でも、それと同時にプロディジーや COLDCUT も聴いていたんだ。
みんな、音楽で限界を突破した人たちだろ?彼らのように、いろんなスタイルを融合させた人たちは、当時そんなに多くはなかった。その後ダンス・ミュージックに大きな新しい波がやって来て、スクウェアプッシャーやエイフェックス・ツインも市民権を得た。あの頃は本当にエキサイティングだった。
――ご自身では、ザ・ケミスツの音楽性をどのように定義していますか?
L:
そうだなぁ……。すごく難しいけど、〈ダンスとロックのクロスオーバー〉かな。アイデアとしては、〈クラブに持って行けるロックのヴァイブ〉を生み出すことだったんだ。優れたクラブ・レコードが持つビッグなサウンドを出したいと思っているロック・バンドは、意外と多いだろ?俺たちも同じで、サウンド・システムを揺るがすような音楽をロック・バンドでやりたかったんだよ。
――メロディに特化したドラムンベース、という捉え方もできる音楽性ですが、メロディの重要性についてはどのように考えてらっしゃいますか?
L:
すごく重要だね。俺的には、どんな音楽でもメロディは命だよ。フック(サビ)にメロディは2小節しかないかもしれないけど、それが耳に残るか残らないかで、大きな差がある。世界で最も偉大なアルバムの中には、素晴らしいメロディが満載だからね。
――近年、UKから流行したニュー・レイヴなどのレイヴ系インディー・ロックは、どのように評価していますか?
L:
クラクソンズとかはハウスの影響がでかいけど、俺達はもっとヘヴィだよね。彼らも悪くないとは思うよ。
――レコード会社からの資料によると、ペンデュラムと比較されることにはウンザリしているようですね?
L:
そうだね(笑)。かなり前から比較されて来たからさ。彼らのことはよく知っているし、お互い至って友好的だけど、彼らの方が先に成功を収めた。それだけだよ。
――アルバム『JOIN THE Q』には、マイク・パットンやナヴィゲーター、ゾイ・デヴリン・ラヴなど、豪華なボーカリストが多数参加しています。どのような経緯で接点を持ち、コラボレーションすることになったのでしょうか?
L:
ナヴィゲーターとは、ザ・ケミスツ最初期から一緒にやって来たんだよ。彼がボーカルを取った「Got One Life」は最高だよね!マイク・パットンは、アメリカの Ninja Tune 経由で声をかけたんだ。「Lost Weekend」という曲には、どうしても最高のロック・ボーカリストが必要だった。俺達がイメージする声の持ち主として、マイク・パットンは最適だったんだよ。
Ninja Tuneからマイク宛てに音源を送ってもらったら、彼は快く引き受けてくれてね。「あのマイク・パットンが俺たちの曲を歌ってくれる!」ってさ、もう有頂天だったよ(笑)!彼は気に入った音楽なら、喜んで引き受けてくれる。そういう男なんだ。
ゾイ・デヴリン・ラヴは友達の友達繋がりで知り合ったんだ。彼女は本当にすごいシンガーだよ。あと、ビアディマンはイギリスのヴォイス・パーカッション・チャンピオンなんだ。3、4年前にブライトンのクラブで彼のパフォーマンスを観たんだけど、もう圧倒されちゃってさ。パフォーマンスの後で彼に「いつかアルバムに参加してくれ!」と頼んだんだ。彼の口から紡がれた音をメインに作曲もしたから、完全なコラボレーションだね。
――バンドに正式なMCやシンガーを加入させるのではなく、その都度ゲストに迎えるというスタンスなんですね。そのスタイルは、今後も継続して?
L:
そうだと思う。俺は、いろんなボーカリストと一緒にやりたいんだよ。その方が面白いし、プロデューサーとしての耳も肥えると思うから。ただ核となるのは、いつだって俺たち3人だけどね。
――『JOIN THE Q』を制作するにあたって、描いた青写真、コンセプトなどはありますか?
L:
メンバーそれぞれが、コンピューターにやりたいアイデアを入れてあって、それがかなり膨大なリストになっていた。それを2〜3日かけて全部聴いたんだ。基本的には、ロックからの影響を取り入れたドラムンベース・アルバムを作ろうと思っていた。でも、不思議とロックの比重が増していったんだよね。
――制作期間はどのくらい?
L:
2年半くらいだったと思う。
――そんなに!?
L:
そうだよ(笑)。音楽だけでは生活できなかったからね。昼間の仕事もやらないといけなかった。パートの仕事をすることもあれば、誰かがフルタイムの仕事をやることもあってさ。家賃を払うために、音楽の合間に働かないと行けなかったんだ。だから、これだけ時間がかかってしまったってワケ。
でも、長くかかったせいで音楽はだいぶ変わったよ。20〜30バージョンも出来た曲もあったからさ(苦笑)。たとえば、「S.W.A.G.」の最初のバージョンを聞いても、その曲だとはわからないだろうな。いろんな意味で勉強になったよ。スタジオ・テクニックの面でも、音楽面でもね。時間はかかったけど、それだけの価値はあったと思っているよ。
――確かにアレンジって、やろうと思えば果てしなくやれますよね。
L:
そうなんだよね(笑)!一番勉強になったのは、いつやめるかだったと思うな。腕利きのプロデューサーは大勢いるけど、いつまでも終わらない人って結構いるじゃない?プロダクションの腕がまた一歩進んだから、次も新しいものが生まれると思うよ。
――プログラミングと生演奏を融合させる上で、今回特に苦労した部分、新たなチャレンジなどがあれば教えてください。
L:
一番のチャレンジは、生楽器を違和感なくデジタル・サウンドに取り込むことだね。つまり、デジタル的に加工しないといけないわけだよ。単にロックのギター・リフをドラムンベースのアルバムに入れると、やっぱり合わない。上手くいかないんだよね。その為に、いろんなスタジオ技術を駆使したな。しかも、シンプルにしないといけない。
ギター・リフを入れる場合、あんまり複雑にしないことが重要なんだ。ドラム・フィルやドラム・プログラミングはドラマーのリオンが主に担当したんだけど、彼のメリットは、いかにもドラマーが叩いているようなビートのプログラミングが出来るということ。それはドラマーじゃないと無理だしね。
――サブベースがここまで効いたロックも少ないわけですが、改めてこのアルバムにしかない魅力は、なんだと考えてらっしゃいますか?
L:
かなりヘヴィなパートもあるけど、最初から最後までちゃんと聴けるアルバムになった部分かな。制作に入る前から、1曲1曲が独立しているんじゃなくて、全体的に纏まったものを望んでいたんだ。
〈シングルの寄せ集めで残りは捨て曲〉みたいなアルバムって、ダンスものにもロックものにもたくさんあるけど、それだとアルバムで出す意味がないからね。ただ、リスナーは好きに聴いてくれればいい。俺としては、最初から最後まで聴きたいと思った人にも、満足を与えることができるアルバムになったと自負しているよ。
――このアルバムにメッセージ性が宿っているとすれば、それはどのようなメッセージだと考えてらっしゃいますか?
L:
特にはないけど、あるとすれば、〈ジャンルの垣根を越える〉ということかな。「俺達のやりたいことはこれだ!」って、みんなに言いたかったのかもね。
――ザ・ケミスツが目指す、バンドとしての目標、到達点などはありますか?
L:
ライブ・バンドとしては、アルバムを再解釈すること。それは、ライブでアルバムを再現する事とは違うんだ。エンターテインメント性があって、エネルギッシュで、楽しいやり方にアルバムを解釈して、ライブ・ショウを行なう。長年かけて俺たちが習得したパフォーマンスを、思いっきり打ち出したいんだ。
――最後に、『パトス・ハメ』読者にメッセージをお願いいたします!
L:
早く君たちと会ってライブをやりたいよ。日本に行ってみんなの前でプレイすれば、俺たちの夢が叶ったも同然なんだ。死ぬ前にやりたいことの、リストの上位が果たされることになるね!
――(笑)。楽しみにしています!
L:
これまでも、日本からの反応には俺たちもすごく満足しているんだ。予想を遥かに上回っていたから、日本のみんなには心から〈ありがとう〉と言いたいね!
■ THE QEMISTS / JOIN THE Q (amazon)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0019C6IWC
■ THE QEMISTS (MySpace)
http://www.myspace.com/qemists
■ THE QEMISTS (Official Site)
http://www.theqemists.com/
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音楽ライター冨田明宏
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